○御蔵島村自然保護条例

平成十四年三月二十九日

条例第七号

御蔵島の水・木々などの島を彩る自然は伊豆諸島のみならず日本全国の離島の中でも屈指の豊かさであり、島に住む人々の心の故郷であるとともに、来島する多くの人々の心を惹きつけてやまない。また、豊かな自然は人間のみならず、世界の例をみない根付のバンドウイルカなどの多くの貴重な動植物を育んできた。

しかし、度重なる台風の襲来などの自然災害のほか、人々の生活圏が広がるにつれ、御蔵島の豊かな自然は少しずつ損なわれつつある。一度損なわれた自然が元の姿を取り戻すために時間を要することは自明の理であり、先人から引き継いだ御蔵島の豊かな自然を後世に引き継いでいくことは今を生きる者の責務である。

御蔵島の豊かな自然を後世に引き継ぐため、島の内外を問わず御蔵島を愛する人々が等しく自然の恵みを享受すべく、自然と共生し、自然を適正に利用するため、ここに、御蔵島村自然保護条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、自然の保護と回復及び適正な利用、野生動植物の保護等の施策を推進することにより、村民をはじめ御蔵島への来訪者が豊かな自然の恵みを享受し、快適な生活を営むことができる環境を確保することを目的とする。

(条例の適用範囲)

第二条 この条例の適用地域は、御蔵島及び御蔵島の海岸から一、〇〇〇メートルの水域とする。

(用語の定義)

第三条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 村民等 村民、観光等による一時的滞在者及び沿岸水域への来訪者及び御蔵島において事業活動を行うものをいう。

 社会生活 御蔵島村において歴史的に行われてきた習俗をいう。

(自然の定義)

第四条 この条例において、「自然」とは、大気、水、土壌及び動植物等一体として総合的にとらえたもので、動植物の生存の基盤である環境をいう。

(基本方針の策定)

第五条 村は、村が実施する自然保護及び回復に関する基本方針を策定するものとする。

2 村長は、基本方針を策定及び変更しようとするときは、あらかじめ御蔵島自然保護審議会の意見を聞かなければならない。

(村長の責務)

第六条 村長は、条例第五条に基づき策定された基本方針に基づき実施される事業について、遅滞のないよう、村民等及び事業者との連携、協力の下に最大限の努力を払わなければならない。

(村民等の責務)

第七条 村民等は自然の保護と回復、野生動植物の保護等に努めるとともに、村が実施する第六条に規定する施策に協力しなければならない。

(保全地域の指定)

第八条 村長は、自然の保護と回復を図るため、特に保全する必要な地域(以下「保全地域」という。)を指定しようとするときは、あらかじめ、その旨を公告し、その案をその公告の日から起算して九十日間住民の縦覧に供しなければならない。

2 前項の規定による公告があつたときは、その区域の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、村長に意見書を提出することができる。

3 村長は保全地域を指定したときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。

4 保全地域の指定は、前項の告示によつてその効力を生ずる。

5 村長は、保全地域を指定したときは、その旨及びその区域を都及び関係区市町村の長に通知しなければならない。

6 村長は、保全地域を指定しようとする場合において関係官庁等との協議を必要とする場合はあらかじめ協議を行わなければならない。

(保全地域の解除)

第九条 村長は保全地域を解除しようとするときは第八条に定められた方法により行うものとする。

(保全地域の区分)

第十条 第八条に指定する保全地域は次に掲げる区分による。

 生活環境保全地域 自然公園法等関係法律による指定を受けていない地域で、村の自然環境保全上特に保護、回復を促進する必要があると認められる地域

 森林等環境保全地域 水源を涵養し、又は多様な動植物が生息し、若しくは生育する良好な自然を形成することができると認められる植林された森林の存する地域で、その自然を回復し、保護することが必要な土地や地域

 特別保全地域 前各号に属しない地域で、御蔵島の自然保護上又は野生動植物の保護上特に保全を要する地域

(保全地域内の行為の制限)

第十一条 村長は、保全地域内において次の各号に掲げる行為について制限することができる。ただし、保全地域として指定される以前から行われてきた生産活動及び社会生活上やむを得ない行為については行為の制限の対象とならない。

 別に定める条例または規則により指定を受けていない動植物の採取又は捕獲及び移動

 指定された植物及び動物の生育環境を著しく損なうおそれのある行為等

 観光を目的として立ち入る行為

 その他、村長が制限が必要と認める行為

2 村民等は別に定める基準により、事前に前項の行為の制限の解除を申請することができる。

3 村長は前項の申請に対し、必要と認めるときは、当該申請に係る行為についてその制限を解除することができる。

(保全地域への立入制限)

第十二条 村長は荒廃等により特に保護する必要があると認めたときは、生産活動及び社会生活上やむを得ない場合を除き、指定した保全地域のうち区域及び期間を限定して村民等の立ち入りを制限することができる。

2 村長は立ち入りを制限する区域を定めたときは、区域及び期間、その理由を付記して告示しなければならない。

3 村民等が立入制限区域内に立ち入る必要が生じた場合は、村長は別に定める基準により立入制限を解除することができる。手続きについては前条については前条第二項及び第三項の例による。

(必要な措置)

第十三条 村長は、第十一条の各号に定める行為及び第十二条に定める制限に従わないことにより保全地域の環境が損なわれたと認めたとき又は損なわれるおそれがあると認めたときは、その行為を行つた者(以下「行為者」という。)に対し環境の回復又は行為の禁止を命じることができる。

2 行為者がこの命令に従わない場合、もしくは違反が悪質であると認められるときは、村長はその氏名を公表するほか、過料として五万円を課すことができる。

(自然保護のための措置)

第十四条 村長は、自然の保護と回復、野生動植物の保護にあたらせるため、自然保護等の監視員を置くことができる。

(意見)

第十五条 村民はこの条例について意見のあるときは別に定める方法により、意見を開陳することができる。

(委任)

第十六条 この条例の施行に関し必要な事項は、村長が別に定める。

附 則

(施行期日)

第一条 この条例は、平成十四年四月一日から施行する。

附 則(平成一五年条例第二一号)

(施行期日)

第一条 この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成一七年条例第九号)

この条例は、公布の日から施行する。

御蔵島村自然保護条例

平成14年3月29日 条例第7号

(平成17年3月14日施行)