○御蔵島村文化財保護条例
平成十七年三月十四日
条例第一号
(目的)
第一条 この条例は、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)第九十八条第二項及び東京都文化財保護条例(昭和五十一年東京都条例第二十五号。以下「都条例」という。)の規定による指定を受けたもの以外の文化財で、御蔵島村(以下「村」という。)の区域内に存するもののうち、村にとつて貴重な文化的遺産の保存及び活用のために必要な措置を講じ、もつて村民の郷土に対する認識を高めるとともに、文化の向上に貢献することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例で、「文化財」とは次の各号に掲げるものをいう。
一 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書籍、典籍、古文書、参古資料、その他有形の文化的所産で、学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
二 工芸技術、郷土芸能、その他の無形の文化財的所産で、歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「民俗文化財」という。)
三 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民族芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件、資料で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
四 貝塚、古墳、旧宅その他の遺跡で、歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、渓谷、海浜、山岳その他の名勝地で芸術上又は鑑賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で、学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(責務)
第三条 村は文化財が、わが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎を成すものであることを認識し、その保存と活用が適切に行われるよう努めなければいけない。
2 村民は、村がこの条例の目的を達成するために行う措置に、誠実に協力しなければならない。
3 文化財の所有者、その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
4 御蔵島村教育委員会(以下「委員会」という。)は、この条例の執行に当たつては、関係者の所有権、その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(指定)
第四条 委員会は、村の区域内に存する文化財のうち、村にとつて重要なものを御蔵島村指定文化財(以下「文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、委員会はあらかじめ次に掲げる者の同意を得なければならない。
二 第二条第二号の文化財については、その保存にあたつている者(以下「保持者」という。)
(村文化財の類別)
第五条 村文化財は、次のように類別する。
一 村有形文化財(第二条第一号に掲げるもののうちから指定されたもの。)
二 村無形文化財(第二条第二号に掲げるもののうちから指定されたもの。)
三 村民俗文化財(第二条第三号に掲げるもののうちから指定されたもの。)
四 村記念物(第二条第四号に掲げるもののうちから重要なものを、史跡、名勝、又は天然記念物(以下「史跡、名勝、天然記念物」と総称する。)に指定されたもの。)
(指定の解除)
第六条 委員会は、次の各号の一に該当する場合は村文化財の指定を解除することができる。
一 村文化財が、滅失したとき
二 村文化財が、著しくその価値を失つたとき
三 村文化財が、村の区域外に移つたとき
四 村文化財が、法第二十七条、法第五十六条の三、法第五十六条の十、法第六十九条の指定及び法第七十条の仮指定並びに都条例第四条の規定により文化財としての指定があつたとき
(告示、通知及び指定所の交付等)
第七条 第四条の指定をしたとき、委員会はその旨を告示し、所有者又は保持者(以下「管理者」という。)に通知するとともに、指定書を交付しなければならない。
2 前条の規定により指定を解除したときは、委員会はその旨を告示し、管理者に通知しなければならない。
3 管理者は、前項の通知を受けたときは、三十日以内に指定書を委員会に返付しなければならない。
(保存地域の設定)
第八条 委員会は、村文化財のうち保存のため必要であると認めたものについては、管理者の同意を得て、地域を定め一定の行為を制限し、又は禁止することができる。
(注意義務)
第九条 文化財の管理者は、当該文化財の管理及び活用について、常に善良な注意を払わなければならない。
(管理責任者)
第十条 村文化財の管理者は、特別の事情があるときは、自己の代わりにその村文化財の管理に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
2 村文化財の管理者は、正当な理由があるときは、管理責任者を変更又は解任することができる。
3 前二項の規定により管理責任者を選任、変更又は解任したときは、村文化財の管理者は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。
4 管理責任者には、前条の規定を準用する。
(権利義務の継承)
第十一条 村文化財の管理者に変更があつたときは、新管理者はこの条例並びに、これに基づいて発する、委員会規則及び委員会の指示又は処分による旧管理者の権限義務を継承する。
(滅失及び毀損)
第十二条 村文化財の全部若しくは一部が、滅失又は毀損し、又はこれを亡失若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者がある場合はその者)はこの事実を知つた日から十日以内に、その旨を委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第十三条 村文化財の所在を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合はその者)は、変更する日の十日前までに、指定書を添えてその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(経費の負担)
第十四条 村文化財の管理、修理又は復旧に、多額の費用を要し所有者(管理者責任者がある場合はその者)が、その負担に耐えられない場合、その他特別の事情がある場合は、その経費の一部に当てるため、所有者(管理責任者がある場合はその者)に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の規定により補助金を交付する場合に、委員会はその補助の条件として管理又は修理に関し、必要な事項を指示するとともに、更に必要があると認めたときは、指揮監督することができる。
一 この条例に基づいて発する、委員会規則及び委員会の指示に違反したとき
二 補助金交付の条例に違反したとき
三 虚偽の方法により、補助金の交付を受けたことが明らかになつたとき
(管理又は修理に関する勧告)
第十六条 村指定有形文化財の管理が適当でないため、当該文化財が滅失、毀損又は盗み取られる恐れがあると認められるときは、委員会は所有者又は管理責任者に対し管理方法の改善、保存施設の設置、その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 村指定有形文化財が毀損している場合、その保存のため必要があると認めるときは、委員会はその所有者又は管理責任者に対し、修理について必要な勧告をすることができる。
3 前二項の規定による勧告に基づいて行う措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内で、その全部又は一部を村の負担とすることができる。
(有償譲渡の場合の納付金)
第十七条 第十四条第一項の規定による補助金の交付を受けた、村文化財を有償で他人に譲渡したときは、所有者等は、当該補助金から補助による管理等が行われた以後、管理等のため自己の費やした金額を控除して得た金額を村に納付しなければならない。ただし、村文化財を村に譲渡した場合、その他特別の事情がある場合は、納付すべき金額の全部又は一部を免除することができる。
2 前項に規定する当該補助金とは、補助金の額をその村文化財につき、委員会が定める耐用年数で除して得た金額に、その耐用年数から、管理等を行つた日から有償譲渡の日までの年数を控除した残余の年数(一年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た額に相当する金額をいう。
(公開)
第十八条 委員会は、村文化財の所有者等に対して六箇月以上の期限を限つて、委員会が行う公開の用に供するため、村文化財の提供を勧告することができる。
2 委員会は、村文化財の所有者等に対して三箇月以内の期限を限つて、村文化財の公開を勧告することができる。
4 委員会は、第一項の規定により村文化財が提供されたときは、職員のうちから管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
5 第一項の規定により、提供したことに基づいて村文化財が滅失し、又は毀損したときは、村はその管理者等に対し通常生ずべき損害を補償する。ただし、管理者等の責に帰すべき理由又は天災等により滅失又は毀損した場合は、この限りでない。
(報告)
第十九条 委員会は、必要があると認めるときは、所有者等に対し村文化財の状況について報告を求めることができる。
(記録の作成等)
第二十条 委員会は、国、都又は村が指定した文化財以外の文化財及び生活生業、風習等の推移を示す無形の民俗資料のうち特に必要あるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し又は適当な者に対し、その記録を作成、保存させることができる。
(罰則)
第二十一条 村文化財を損壊し、毀損し又は隠匿したものは十万円以下の罰金又は科料に処す。
2 第十三条の規定に違反した者は十万円以下の科料に処す。
(委任)
第二十二条 この条例施行について必要な事項は、委員会規則で定める。
附 則
この条例は、平成十七年四月一日から施行する。